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地村 幹; 原田 寛之; 金正 倫計
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2022(6), p.063G01_1 - 063G01_26, 2022/06
被引用回数:1 パーセンタイル:28(Physics, Multidisciplinary)高強度イオンリニアックの低エネルギー領域では、強い空間電荷場により、わずか数メートルの距離でビームエミッタンスが急速に増大する。このビームエミッタンスの増大は、ビーム損失や装置の放射化につながり、加速器機器の定期保守やビーム強度増強の際に大きな問題となる。本研究では、3次元粒子追跡シミュレーションと理論的考察に基づいて、空間電荷場によるビームエミッタンス増大の要因を調べた。J-PARCのリニアックをモデル化した数値シミュレーションによって、空間電荷場の非線形項が直接ビームエミッタンス増大とビームハローの形成を引き起こすことを明確にした。また、空間電荷場の非線形項の一つとして生じる八極磁場を用いて、ビームエミッタンス増大を緩和する方法を世界で初めて提案した。この方法をシミュレーションに適用し検証した結果、ビームエミッタンス増大を有意に緩和することに成功した。
岡部 晃大; Liu, Y.*; 大谷 将士*; 守屋 克洋; 柴田 崇統*; 地村 幹*; 平野 耕一郎; 小栗 英知; 金正 倫計
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011011_1 - 011011_6, 2021/03
J-PARC大強度陽子加速器では設計出力値である1MWビームパワーのビーム調整を行っている。線形加速器におけるMEBT(Medium Energy Beam Transport)1は低エネルギーでの大強度ビーム輸送系であり空間電荷力が支配的な状況でビームを輸送、及び、下流加速器であるDTLに整合したビームに成型する機能を持つため、J-PARC加速器の出力を安定化する上で最も重要な機器である。そこで、ビーム供給安定化向上のため、MEBT1より上流のイオン源やRFQ等の機器パラメータとMEBT1でのビームパラメータとの関連性を調査した。その結果、MEBT1に入射するビームの挙動は上流機器の設定パラメータと関連があり、その関係はイオン源の数値シミュレーション結果をもとにしたビーム力学理論から解釈できることが今回初めて判明した。さらに、本結果をもとにシミュレーションによる解析を行い、現状のMEBT1では下流側DTLとのビーム整合を行う上でビームモニターの数が不足しており、それらの設置個所を含めて再検討が必要なこと、バンチャー空洞の数を増やしてチョッパーシステム及びDTLとのビーム整合を両立可能な状態にすることによりさらなるビーム供給の安定化が見込めること、などの課題がはっきりと分かった。本発表にてそれらビーム実験結果を報告する。
地村 幹*; 原田 寛之; 守屋 克洋; 岡部 晃大; 金正 倫計
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.728 - 732, 2019/07
大強度ビームにおける空間電荷効果の増大は、ビーム損失の増大を引き起こす。そのビーム損失は、装置の放射の観点からビーム強度を制限してしまう。そのため、その空間電荷効果によるビーム広がりを抑制することが非常に重要である。本研究では、その効果が特に顕著になるリニアックの低エネルギー領域に着目した。その効果によるビーム広がりの起源を同定するために、空間電荷力を考慮したシミュレーションを実施した。そして、J-PARCリニアックの低エネルギー部(MEBT1)における空間電荷効果が顕著に影響を及ぼしていることが判明した。その要因が空間電荷力の非線形力であることを突き止め、八極電磁石による非線形磁場にてその効果を緩和する手法を新たに考案した。シミュレーション上でその手法を検証した結果、ビーム広がり抑制が可能であるという結果を得た。本発表では、考案した手法やその検証結果について報告する。
岡部 晃大; 丸田 朋史*; 發知 英明; Saha, P. K.; 吉本 政弘; 三浦 昭彦; Liu, Y.*; 金正 倫計
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.933 - 937, 2015/09
J-PARC 3GeV-RCSシンクロトロンでは、ビームハローのような極少量のビームロスでさえ加速器機器を甚大に放射化する要因となり、メンテナンス作業を困難なものにする。そのため、大強度ビームの安定的な利用運転を実現するに向けて、RCSではビームハローの抑制が大きな課題となっている。RCSではビーム入射方法として荷電変換による多重入射法を採用しており、入射ビームのtwissパラメータがRCSのオプティクスに整合していない場合、入射過程においてハローが生成される可能性が高い。ビーム損失の要因であるハローの生成を抑制するため、RCSでは入射ビームのtwissマッチング調整を行っている。マッチング調整では大強度ビームの挙動を正確に把握するため、空間電荷効果を考慮した3次元エンベロープ方程式を用いて入射点におけるビームのtwissパラメータを算出している。また、Linac-RCSビーム輸送ライン(L3BT)に設置されたワイヤスキャナモニタを用いてビームプロファイル測定を行い、算出したtwissパラメータと比較しつつ、入射ビーム調整を行っている。本発表ではJ-PARC RCSで行われている入射ビームマッチング調整の手法を紹介する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 伊藤 久義
IEEE Transactions on Nuclear Science, 52(5), p.1504 - 1512, 2005/10
被引用回数:7 パーセンタイル:44.9(Engineering, Electrical & Electronic)シングルイベント効果は、宇宙環境に存在する高エネルギーイオンが誘起する高密度の電子正孔対が原因となって引き起こされる。それゆえ、シングルイベント効果の発生機構解明には、高密度の電子正孔対の挙動を明らかにすることが求められる。電子正孔対の密度が非常に高い場合、空間電荷(SC)効果が現れる。本研究では、SC効果を明らかにするために、高エネルギーイオン及びパルスレーザをGaAs MSM(Metal Schottky Metal)光検出器に照射し、シングルイベント過渡電流を計測した。測定の結果、イオン照射がレーザ照射と比較してSC効果が大きいことが判明した。これは、イオンとレーザが生成するプラズマ柱の構造(電荷密度の空間分布)が異なることに由来すると考えられる。デバイスシミュレータによる計算及び実験結果から、SC効果によってシングルイベント過渡電流の波形形状が大きく影響を受けることが明らかになった。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 若狭 剛史; 山川 猛; 阿部 浩之; 神谷 富裕; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.125 - 129, 2004/10
人工衛星に搭載されているオプトエレクトロニックデバイスの一種であるフォトダイオードで発生するシングルイベント効果の発生機構を解明するために、イオン及びレーザ照射を行いシングルイベント過渡応答を調べた。Si PINフォトダイオードで発生する過渡電流は、両極性及び極性の2つの期間に分類できることがわかった。前者は空間電荷(SC)効果が原因であると判明した。さらに、デバイスシミュレータを利用した計算より、過渡電流は電子及び正孔の誘導電流及び変位電流の総和で表されることが明らかになった。一方、GaAs MSMフォトダイオードで発生する過渡電流はSi PINフォトダイオードと比較して、SC効果の持続時間が短い結果が得られた。この違いは、素子構造が異なることによって、MSMはPINフォトダイオードと比較して、デバイス中に付与されるエネルギーが小さいこと、及び表面効果が大きいこと等が原因であると考えられる。
池上 雅紀
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 454(2-3), p.289 - 298, 2000/11
被引用回数:2 パーセンタイル:26.94(Instruments & Instrumentation)本研究では、2次元の粒子シミュレーションコードを用いて非対称ビーム(水平方向と鉛直方向でエミッタンスや収束力が異なるビーム)におけるハロー生成過程の研究を行った。シンクロトロンや蓄積リング中のビームは通常非対称であるとを考えると、ビームにおけるビームハローの研究を行うことは、核破砕中性子源用大強度加速器を実現するうえで必要不可欠であると考えられる。粒子シミュレーションの結果、非対称ビームにおいても、ハローの大きさは粒子-核モデルに基づく解析の結果と非常によくあうことが確かめられた。また、粒子-核モデルの解析でみられる粒子のカオス性だけでなく、2:1粒子-核共鳴の安定不動点の位置も、ハロー強度を決定する重要な要因であることがわかった。これらの結果は、大強度の蓄積リングまたはシンクロトロンを設計するうえで一つの指針を与えるものである。
森本 巌; 木代 純逸*; 高山 健*; Zheng, X.; 前原 直; 志甫 諒
JAERI-Research 2000-008, p.59 - 0, 2000/02
GW級のFEL発振を行うために、誘導型加速器を用いてkA級電子ビームの発生及び伝送実験を行った。本研究では、カーボン布を用いた冷陰極に1MeV,160nsのパルス高電圧を印加して発生したkA級電子ビームをさらに1MeV追加速し、ビーム損失を抑えて伝送することを目的とした。伝送中の電子ビームはソレノイド磁場を用いて制御した。kA級電子ビームのもつ強い空間電荷効果により、ビームの発散力は大きい。そこでビーム発生部では、EGUNプログラムを用いてビームの発散を抑えた電子銃を設計した。ビーム伝送部では、空間電荷効果を取り込んだプログラムを開発し、ソレノイド磁場によるビーム損失を抑えた伝送を検討した。その結果、電子銃より450Aの電子ビームを引出した。ビーム伝送効率は、1kGの磁場において90%に達し、2MeV,400A,平均ビーム径50mmの電子ビームを伝送することに成功した。
池上 雅紀; 町田 慎二*; 上杉 智教*
Physical Review Special Topics; Accelerators and Beams, p.124201_1 - 124201_10, 1999/12
これまでのビームハロー形成過程の研究から、粒子-核共鳴によるビームハローの形成が、比較的ビーム密度の低い円形加速器においても起こる可能性があることがわかってきた。しかし円形加速器中におけるビームハロー形成過程を議論するためには、線形加速器中のビームハローの研究では考えてこられなかった偏向電磁石中での運動量分散の効果を評価することが不可欠である。本研究ではこのような観点から、従来線形加速器中のビームハローの研究に広く用いられてきた粒子-核モデルに運動量分散の効果をとり入れたモデルを構築し、そのモデルに基づいて円形加速器中でのハロー形成過程の研究を行った。この結果、運動量分散がある閾値を越えるときには分散整合を入射時にとらなければ強度の高い大きなハローが形成されうることがわかった。また分散整合をとったときに形成されるハローの大きさは線形加速器中よりもやや小さいとわかった。
野田 文章*; 金正 倫計
JAERI-Research 99-019, 64 Pages, 1999/03
中性子科学研究計画用陽子蓄積リングには、出力パワーで5MWが要求されている。2台のリングで5MWを達成するとしても、平均周回ビーム電流値は50Aにも達する。このような大電流ビームを安定に蓄積するには、バンチングファクターを大きくしてピーク電流値を下げる必要がある。また運動量拡がりが過度に増大しないように制御することもビーム損失を低減するうえで重要となる。さらに本計画では速いビーム取り出しをするため、ビーム出射の段階までバンチ構造を保つ必要性がある。そこで本研究では上記の要求を満たす高周波系の概念検討を行うとともに、縦方向のビームシミュレーションコードを作成してビームダイナミクスの面からの検証も進めてきた。本報告書ではこれらの検討結果について報告する。
池上 雅紀*
Physical Review E, 59(2), p.2330 - 2338, 1999/02
被引用回数:26 パーセンタイル:69.99(Physics, Fluids & Plasmas)本研究では、これまで一様な収束系におけるビームハローの形成過程の研究に用いられてきた粒子-核法を、周期的な収束系を輸送される不整合ビームに適用する方法を開発し、周期的なソレノイド収束系と、FODO収束系におけるビームハロー形成過程の研究を行った。その結果、周期的なソレノイド収束系では一様な収束系の場合と同様の結果が得られたが、FODO収束系の場合は、一様な収束系では見られない強いカオスが見られた。このことは、FODO収束系では、粒子の運動がカオティクになることによって、一様な収束系の場合よりも、ハロー強度が増大する可能性があることを示している。また従来からハロー形成の原因と考えられていたビーム核の脈動振動だけでなく、四重極振動もハロー形成の原因となりうることが確かめられた。
池上 雅紀*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 435(3), p.284 - 296, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:60.66(Instruments & Instrumentation)本研究では、これまで水平方向と鉛直方向のエミッタンスや外部収束力の強さが等しい対称なビームにのみ適用されてきた粒子-核法を、非対称ビームに適用し、ビームハロー形成過程におけるビームの非対称性の影響を調べた。シンクロトロンや蓄積リング中のビームは通常非対称であることを考えると、非対称ビームにおけるビームハローの研究を行うことは、核破砕中性子源用大強度加速器を実現するうえで必要不可欠であると考えられている。粒子-核法に基づく数値解析の結果、非対称ビームでは、対称ビームと異なり、パラメータの選択によってハロー強度の増大の原因と考えられるカオスを抑えることか可能であることがわかった。これは大強度の蓄積リングあるいはシンクロトロンを設計するうえで実用的な設計基準を与えるものである。
町田 慎二*; 池上 雅紀
Proceedings of 6th European Particle Accelerator Conference (EPAC98) (CD-ROM), p.282 - 284, 1998/01
空間電荷効果が重要な意味を持つ大強度リングでは、ビームの不安定性を決定するのは、単粒子的(インコヒーレント)な描像に基づく共鳴条件ではなく、集団的(コヒーレント)な描像に基づく共鳴条件であることが知られている。本研究では、マクロ粒子を用いたシミュレーションを行うことによって、2次だけでなく高次のコヒーレント振動のビームへの影響を調べた。その結果、外部の誤差磁場によって決まるある特定の共鳴条件では、エミッタンス増大やビーム損失を引き起こすことがわかった。また、線形加速器におけるビームハローの研究にしばしば用いられる粒子-核モデルを適用することによって、ビームのコヒーレントな振動によって誘起されるリング中でのビームハローについての研究もあわせて行った。
池上 雅紀*; 水本 元治
Proc. of XIX Int. Linac Conf. (LINAC98), 2, p.821 - 823, 1998/00
本研究では、これまで一様な収束系におけるビームハローの形成過程について定性的な理解をもたらしてきた粒子-核法を、周期的な収束系における不整合ビームに適用する方法を開発し、周期的なソレノイド収束系と、FODO収束系を輸送されるビームに適用した。その結果、周期的ソレノイド収束系では一様な収束系の場合と同様の結果が得られたが、FODO収束系では一様な収束系の場合に見られない強いカオスが見られた。このことは、FODO収束系におけるハロー強度が一様な収束系の場合よりも大きいことを示唆している。また、FODO収束系では、ソレノイド収束系とは異なり、軸対称でないモード(四重極モード)のビーム核振動も励起されうる。本研究では、このような振動をするビーム核のまわりのテスト粒子の安定性も併せて調べた。
町田 慎二*; 池上 雅紀*
Workshop on Space Charge Physics in High Intensity Hadron Rings, p.73 - 84, 1998/00
マクロ粒子を用いた2次元及び3次元のシミュレーションによって、リング中での空間電荷効果について調べた。まず、このシミュレーションにおける空間電荷効果の計算方法について述べ、つぎにこのシミュレーションコードを用いた結果の例として、ビームの安定性とビーム密度の限界を決定する上で重要な役割を担っているビームの集団的(コヒーレント)振動について得られた結果を示した。最後に、このビームのコヒーレント振動が駆動力となって引き起こされるビームハローの形成過程を考えた。線形加速器においては、初期の不整合に起因する粒子-核共鳴がビームハロー形成の最も主要な過程であると考ええられているが、今回、コヒーレント振動を駆動力とする同様の過程がリング中でも起こりうることが確かめられた。
野田 文章*; 金正 倫計; 草野 譲一; 水本 元治
Proc. of 11th Symp. on Accelerator Sci. and Technol., p.350 - 352, 1997/00
中性子科学研究用陽子蓄積リングでは数千のHパルスビームを荷電変換入射し、Hビームをリングに蓄積する。本リングではこの過程でのビームロスをいかに抑えるかが重要な問題となっている。この解決策として横方向についてはペインティングと呼ばれる手法を用いる。これは周回ビームのフォイル通過回数を抑えるとともに空間電荷効果によるビーム発散を抑えるものである。本報告ではこのペインティング方法について検討した結果を報告する。一方、縦方向に関しては、高周波バケット内に安定にビームを保持することが重要となる。そこで高周波バケット形状を変化させた場合のビーム安定性について検討を行った結果についても合わせて報告する。
岡部 晃大
no journal, ,
J-PARC 3-GeV RCSでは1MW出力のビーム試験に成功し、その定常利用運転を目指したビーム調整が積極的に行われている。RCSなどの大強度陽子加速器ではビームロスに伴う加速器の放射化によってビーム強度の上限が制限されるため、RCSではビームロスの要因の一つであるビームハローの抑制方法を確立する必要性が高まっている。リニアック-RCSビーム輸送ライン(L3BT)からの入射ビームをRCSオプティクスに整合(マッチング)させることはビームハローを抑制する上で重要な方法の一つであるが、そのためには大強度ビームに伴う空間電荷効果を考慮したビーム調整が必須となる。RCSでの大強度ビームの調整試験において大強度入射ビームの最適化を行った結果、RCS内でのビームロスの減少、及び、RCS取り出しビームのハロー成分が入射ビームのマッチングパラメータによって増減することが明らかとなった。本発表ではRCS入射ビームの最適化手法、ビーム調整試験の結果を紹介し、その有用性や大強度ビームの空間電荷効果について議論する。
地村 幹; 原田 寛之; 守屋 克洋; 岡部 晃大; 金正 倫計
no journal, ,
大強度陽子加速器におけるビーム強度は、最先端実験の効率や稀な事象の探索の精度を決定する重要なパラメータである。大強度ビームでは、空間電荷効果によるエミッタンスの増大および、それに伴うビーム損失による機器の放射化の増加がビーム強度を制限してしまう。その効果によるエミッタンスの増大の起源を同定するため、J-PARCリニアックをモデルとしたビームシミュレーションを実行した。その結果、空間電荷力の非線形力がビーム分布の歪みとエミッタンスの増大を引き起こしていることを確認した。そこで、空間電荷力の非線形成分と同様にビームに非線形力を与える多極電磁石を用いることによってエミッタンスの増大を抑制する手法を新たに考案し、シミュレーション上でその手法を検証した。J-PARCリニアック上流部のビーム輸送ラインに八極電磁石を導入した場合、エミッタンスの増大を2割程度抑制可能であることを示した。本発表では、多極電磁石を用いた空間電荷効果によるエミッタンス増大の新たな抑制手法について報告する。
地村 幹; 原田 寛之; 守屋 克洋; 岡部 晃大; 金正 倫計
no journal, ,
加速器ビームの大強度化は、ビームの空間電荷効果に起源を持つビーム損失も増加させ、機器の放射化を引き起こすため、保守の観点から強度を制限せざるを得なくなる。多くの場合にはビーム損失機構は共鳴現象によって理解される一方、空間電荷場が非常に強い加速初期領域では、その非線形性に起因する短距離で急激なエミッタンス増大が引き起こされる。このエミッタンス増大はその地点の放射化への影響は小さいが、それ以降のビーム損失を増加させる原因となり、大強度化を阻害する根本的な要因となる。本研究は、このエミッタンス増大を抑制する新たな手法として、非線形な場である八極磁場を印加することで空間電荷場の非線形項を補償する手法を提案し、シミュレーションコードIMPACTを用いて、大強度陽子線形加速器J-PARCリニアックをモデルとしたビームシミュレーションを実行した。その結果、八極磁場を印加することでビーム分布の外核部における広がりが抑制されていることが確認でき、ビーム損失を計算上抑制できた。本発表では、八極磁場を用いた空間電荷補償の結果を報告し、実験計画についても言及する。
地村 幹; 原田 寛之; 高柳 智弘; 金正 倫計
no journal, ,
大強度陽子加速器のような空間電荷場が顕著になる低エネルギー領域においては、数m程度の短距離で急速にビーム品質が悪化する現象が起こる。この現象は、ビームの内側では強い空間電荷力が働く一方、ビームの外側では空間電荷力が弱いためにビームの運動方向が不揃いになることに起因する。J-PARCリニアックの3MeVビーム輸送路におけるシミュレーションでは、3mの短距離で50%以上のエミッタンスが増大することが確認された。そこで、ビーム外側に強い力をかけることが可能な八極磁場を用いて、空間電荷力を緩和する手法をこれまでの研究で提案し、シミュレーションよりエミッタンスの増大が抑制可能であることを示した。本手法を実際の加速器に導入し、より高品質で大強度なビームを実現するために新たな結合型電磁石を開発した。本講演では、四極磁場と八極磁場を同時に発生することのできる新たな結合型電磁石の設計およびビームシミュレーション結果について報告する。